10月20日のCreators@Kamogawaでは、作曲家 / トランペット奏者のウド・モルと、写真家 / 映像作家のトビアス・ツィローニが、それぞれ日本の研究者とトークを繰り広げました。司会はアートジャーナリストの小崎哲哉。1980~90年代の日本のビデオゲームや人工知能(AI)、移民や在日ブラジル人コミュニティがテーマとなりました。

第1部は、ウド・モルと、ゲームAI開発者の三宅陽一郎とのトークでした。ウド・モルは、トランペットとモジュラーシンセサイザーから成る「ハイブリッド楽器」を開発しています。ヴィラ鴨川滞在中に取り組むプロジェクトでは、それをもとに、1980~90年代の日本のビデオゲームと電子音楽を新たに結び付けます。特に注目しているのは、「S.O.S.」「ノスフェラトゥ(Nosferatu)」というゲームです。ウド・モルにとって、これらのゲームの画像は抽象的で、アート表現のための可能性が広がります。一方、近年の新しいゲームは、具体的でリアルになり過ぎて、想像の余地があまりないと感じます。これに関して、三宅陽一郎は、人工知能が持つ様々な行動の可能性に触れました。


第2部ではトビアス・ツィローニが、社会学者のアンジェロ・イシと、日本の移民、とくに在日ブラジル人コミュニティについて話し合いました。日本の人口で、移民やその背景を持つ人の占める割合はわずか2 %です。一方ドイツでは、23.6 %です。このことが、日本における多文化共生にもたらす意味とは?「移住・移民」とは文化の多様性を意味する一方、以前から暮らす住民との間に誤解や軋轢が生まれることもある、とアンジェロ・イシが説明。トビアス・ツィローニは写真家として、このテーマにレンズを向けてきました。とくに、夜や移動の可能性など、在日ブラジル人の若い世代をとりまく環境や問題、また、そのアイデンティティに作用するメカニズムに注目しています。


トークの後はカフェ・ミュラーにて交流会です。レジデントの作品もモニターで紹介され、この日の締めくくりとなりました。
